原神(げんしん)、英語圏で使われている考察用の規格「KQM Standards」の解説を行っています。
これを理解することで、この規格に則った考察を行い、他者の計算結果を比較することができます。
- 計算の前提条件を整え、比較を容易にするための規格
- 好きな聖遺物サブステータスに20回振ることができる
- 90秒、3無色オーブのキル粒子を前提に元素チャージ効率の計算を行う
- その他、細かい表記によって比較を容易にする
KQM Standardsとは
KQM Standardsとは、原神のビルド構築考察用の規格です。
他人の計算結果と比較する際、前提条件(キル粒子、聖遺物サブステータス)が異なると正確な比較が行えません。
これを一般化するための規格が”KQM Standards”と呼ばれている規格です。
KQM Standardsの原文は以下のgoogleドキュメントです。
今回は、これについてざっくり翻訳し解説しています。
KQM Official Guidelines on Calculation Standardization or Something Pretentious(原文):https://docs.google.com/document/d/1_UpwP0VziHehZVwdsD74wYuWD9pdSAknNVzs30U4vFE/
KQM Standardを理解することで
英語圏のビルド考察等は概ねこの規格に則っています。
英語圏のビルド考察で広く使われていて、例えば英語圏の綾人ビルドガイドの紹介での考察はこの規格に則っています。
あるいは「2.6海外ティアリスト」ではgcsimによる計測結果をチームDPSランキングとして紹介していますが、これら計測結果もこの規格に則っています。
この規格を使うと自分で考察した際に、他人の計算結果と比較することができるようになります。
あるいは、どういうった前提条件での計算結果なのか理解ができるようになります。
KQM Standardsのざっくり解説
知っておくべきなのは聖遺物サブステータスと元素チャージ効率の計算(キル粒子の前提条件)です。
元素チャージ効率の計算について
ドキュメントには元素チャージ効率計算機を使えと書いてあります。
ここで紹介されている「Zakharov ER Calculator」については、以前使い方の紹介をしています。
参考:「Zakharov ER Calculator」を使ってみよう
Energy requirements must be calculated with 3 clear orbs from enemies over 90s.
https://docs.google.com/document/d/1_UpwP0VziHehZVwdsD74wYuWD9pdSAknNVzs30U4vFE/
(元素チャージ効率の計算は、90秒に渡って提供される3無色のオーブを前提に計算します)
元素チャージ効率計算機のデフォルト設定を使うと良いようです。
聖遺物・サブステータス
簡単に言うと、「好きなステータスに20回まで振れる」の意です。
20個の固定サブステータス(fixed substats)があり、それに加えて20個の分散型サブステータス(distributed substats)を割り振ることができます。
- 聖遺物サブステータスは合計40回のステータス振りがされる
- うち20回は固定サブステータスとして、すべてのステータスに2回づつ振られる
- 残りの20回は好きなステータスに振ることができる
例えばgcsimのconfigデータを見ると、この規格を使って以下のようにサブステータスが定義されています。
参考(雷電ナショナル編成のシミュ結果):https://gcsim.app/viewer/share/perm_AY1MdsFpZipK4qxYP4cLn
上のサブステータス定義に則ってサブステータスが代入されていることが分かります。
攻撃 | 攻撃% | 会心率 | 会心ダメ | 熟知 | 元チャ | HP | HP% | 防御 | 防御% | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
数値 | 33.08 | 19.84% | 33.1% | 79.44% | 39.64 | 11.02% | 507.88 | 9.92% | 39.36 | 12.4% |
振られた回数 | 2 | 4 | 10 | 12 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
固定サブステータス(Fixed Substats)
望む、望まないに関わらずすべてのステータスに2回づつ割り振られます。(合計20回)
(HP,HP%,攻撃力,攻撃力%,防御力,防御力%,元素熟知,元素チャージ効率,会心率,会心ダメージに2箇所づつ)
分散サブステータス(Distributed substats)
余った20個のサブステータスは自由に分配することができます。
ただし、1つの聖遺物につき同じステータスは2回しか振ることが出来ないとされています。
(なので、1サブステータスにつき10回が上限)
サブステータス1回あたりの上昇量は以下のように定義されています。
(下限と上限の平均?)
上昇量 | |
---|---|
HP% | 4.96% |
HP | 253.94 |
攻撃力% | 4.96% |
攻撃力 | 16.54 |
防御力% | 6.20% |
防御力 | 19.68 |
元素熟知 | 19.82 |
元素チャージ効率 | 5.51% |
会心率 | 3.31% |
会心ダメージ | 6.62% |
また、★4聖遺物を使用した場合は0.8倍のサブステータス補正と、★4聖遺物1個ごとに-2の分散型サブステータスのペナルティを受けます。
(教官4セット等を採用する場合)
サブステータス割り振り用スプレッドシート
手計算が面倒臭い人のために、この規格に則ったサブステータス割り振りサポート用のスプレッドシートが共有されています。
KQM Standard Substat Calcs Helper Sheet:https://docs.google.com/spreadsheets/d/1rGa-Fe5OtA68sA7rYoMtWXjjt8aBRwfgqWd-6xspLvE/
- 黄色いセルに値を入れる
- Liquid Totalが20になるように調節する
- 黄色いセルに値を入れると、数値が下の行(白いセル)に出る
また、必要数値からの逆算モード(下の段)もあります。
私の見つけた中では、これが一番使い易かったです。
(自分のドライブにコピーし、使用することができます。)
白いセルから得られたステータスをダメージ計算機等に代入して使用します。
実際のところ、この基準はどうなのか
「20回好きな場所に振れる」という想定は現実的なラインとしてどうなのか疑問に思ったので、自分の聖遺物サブステータスと比較してみました。
結論から言うと、自信のある聖遺物セットでは「22回好きな場所に振れている」状況でした。
“20回”という条件は「聖遺物厳選済み(かなり良い状況)」程度のステータスと言えると思います。
ちょっと長いので、内訳については開閉式にしています。
その他
このあたりはあまり気にする必要はないと思いますが、以下のようにするべしと書いてあります。
- 聖遺物は最大レベルでなければならない
- 武器は最大レベルでなければならない
- 武器名と精錬は表記されなければならない
- 武器スキル効果のアクティブ時間を表記しなければならない
- キャラクターの凸数は表記しなければならない
- すべてのキャラクターはLv90、天賦9(10)/9(12)/9(12)でなければならない
- ダメージ計算はLv100の敵、10%の全元素耐性を持っているとして行わなければならない
- 耐性が異なる敵相手に試算する場合、表記する必要がある
- ローテーション(スキル回し)をすべて明記する必要がある。以下のような要素
- ローテーションの長さ
- 元素反応
- パッシブ効果時間
- バフの効果時間
- 範囲攻撃による影響
- Primary Target(複数体のうち1体)によるものなのか、Single Target(完全に単体)での試算なのかを表記する
甘雨や綾人のようなキャラクター(元素爆発の仕様上、複数体のうちの1体に小範囲ダメージを降らせるので敵が複数体居た場合のほうが有利)や、拡散反応(近くの敵にもダメージを与える)のため、Primary Targetという概念が存在します。
あとがき
海外のスプレッドシート等を見ているとどんな聖遺物状況等の前提なのか不明に思った方もいるかもしれませんが、こういうことでした。
この規格を使うことで、例えばgcsimやスプレッドシートでのDPS比較をした際に他者との比較が容易になります。
これは英語圏のものなので、中国語圏ではまた異なる規格が使用されているはずです。
(こちらについては一般的なガイドラインのようなものを見つけられていません)
こちらはKQM Standardsではありませんが、パーティDPSの比較では★5キャラは0凸、★4キャラは6凸等の前提条件があることが多いです。
関連記事・サイト内リンク
参考:「Zakharov ER Calculator」を使ってみよう
参考:gcsimの使い方+フィッシュルの武器比較
(gcsimを利用したフィッシュルの武器比較、gcsimの操作手順について解説)
参考:Ver2.6の海外ティアリスト紹介
(パーティDPS表の前提条件がKQM standards)
コメント