【崩壊スターレイル】遺物「劫火蓮灯の鋳煉宮」【Ver2.3実装】

古代から航海が始まって以来、仙舟朱明は星海を旅して8千年あまりになった。その船体の形状が変化する様子を時空を超えて観察すると、その過程がとてもロマンチックであることに気付くだろう――巨大な船が淡い青色の恒星を呑み込み、古い殻を層ごとに剥がし、骨組みを隆起させ、最終的には蓮の花のように開く。
宇宙から見ると、仙舟朱明全体が金の糸で編まれた蓮のランプのように見える。巨大な発光する「蓮の葉」が「照明柱」の周りに徐々に広がり、淡い青色の光を浴び、「船ではなく、蓮の灯のように明るい」と言える。中心にある「ランプの傘」の部分は天体クラスの球形シェル構造をしており、淡い青色の太陽「ランプの芯」を回り続けている。この巨大な構造は仙舟朱明のもの作りの要地――「焔輪鋳煉宮」の所在地だ。
昔、朱明の名匠である陽翟は、名前の知られていない古代の皇帝から武器の鋳造型を贈られ、航海の証とされた。それ以来数千年もの間、長生の大きな変動によって帰還の見込みがなくなっているが、名匠の伝統は決して途絶えることがなかった。仙舟朱明では、工芸技術は最高の学問とされている。歴代の将軍はすべて工造司百冶の位を持ち、外では大軍を指揮し、中では工具を操り、人々から尊敬されている。仙舟の巡狩が必要とする武器の約6〜7割は朱明工造司で製造されている。そのため、焔輪鋳煉宮は銀河における技術の聖地となった。
鍛冶は文明の尺度であり、炎は文明の出発点である。大部分の若い文明が最も頭を悩ませているのはエネルギーの問題だ。人々は文明をより高みへと押し上げるためのエネルギーを苦労して探した。しかし、仙舟朱明はこの壁を乗り越えた――歳陽の祖「火皇」を囚え、職人たちは無尽蔵のエネルギーを手に入れたのだ。焔輪鋳煉宮は広がる枝が伸びた軌道のような構造で恒星を最大限に囲んでいる。細かい枝葉には受信と変換のための装置が広がっており、太始の炎「火皇」からあらゆる技術創造のためのエネルギーを取り出している。
無数の職人がこの「偽陽」を呑み込んだ朱明工造司を最上級の殿堂と見なし、神器鍛造を志す者たちはその門をくぐる。金木を鍛えて物の形が歪む中、焔輪鋳煉宮は職人に必要なすべてを用意している――
さまざまな世界の学徒が鋳煉宮に集い、同門となって技術を競い合い、宝器を求めて来た異邦人も大金をはたいてで職人に優れてた武器を作らせる――しかし、数千年もの間、数多くいる学徒の中で「匠の中の匠」懐炎将軍の指導を受けられたのはほんの一握りだった。彼は言葉と自らの行いで工芸技術と武術を後進に伝え、その門下の学徒は「百冶」という称号で歴史に名を残す宗匠となるか、同盟で名高い雲騎軍兵士となった。その中でも「焔輪八葉」が最も有名だ。
「鍛造炉に迸る千の星、鉄に火を点け英霊を賦与する。一斗の光に戦威を奮い、鋒鋭を手に世の安寧を守る」朱明の職人は工具を授けられたその日から、彼らが昼夜鍛えているのはただの一尺の刀剣ではなく、巡狩の矢じりなのだと心に留めておかなければならない。

深宇宙を航行する仙舟朱明は常に異色の光の帯を伴っている。これは極高温の核融合反応によるエネルギーの産物であると同時に、「火皇」が依然として燃え盛っており、不死不滅であることの証しでもある。
「火皇」の吐息によって飛散する極光粒子の最外層では、新たに生まれた歳陽がここで速度を落とし、徘徊する。朱明十王司の猟火判官は、いかなる感情にも染まっていない無垢な歳陽を捕らえ、温かい夢によって火の未熟な心を従順にさせる。その後、判官たちは無害な歳陽を工造司の歳火監に引き渡す。歳火監はそれを各種の巧妙な装置と組み合わせて、朱明の燭台、乗り物、いたるところで見られるさまざまな風景などにする…しかし、真実を知らない殊俗の民の目には、会話や歩行ができる奇物が「洞天にはいたるところに精気が存在し、年齢を重ねた道具が妖魔に変わる」といううわさを証明しているように映る。
異色の光帯に沿って深く進むと、鋳煉宮を越えて、偽陽が形成する超重力場にたどり着く。普通の人はそのような恒星の密度に耐えられない。そこは内部崩壊のように乱れており、この区域を普通に歩けるのは「梨菩」の職人だけだ。
灼熱の恒星爆発や異常な天体現象が、好奇心旺盛な人々が偽陽に近づくことを拒み、宇宙のあらゆる基本的な物理法則がこの区域で人々を恐怖に陥れるほど強化されている。ずんぐりとした強靭な星民である梨菩だけが、このような重力異常の空間で生き延びられる――梨菩は生まれながらにして最高の職人だ。彼らは鋳煉宮と偽陽の間を往来しており、時間の感覚が一般人と異なる。約束を守りながら職人の技を磨き、艦船や大砲を製造し、偽陽の眠りを監視している。仙舟朱明は梨菩を忠実な盟友と見なし、彼らの不屈で頑強な精神を尊重し、無私の貢献に感謝している。
誰も異色の光帯に沿って奇妙にねじ曲げられた重力場を通り抜けたり、偽陽の深部に潜り込むことはできない。そこは感情的な存在が足を踏み入れてはいけない場所であり、「火皇」の無限の夢の中なのだ――仙舟朱明は、いかなる感情の波動も歳陽始祖の無尽蔵の力を呼び覚ます可能性があるとして警戒している。
人々はしばしば警告を無視して遠くから偽陽をじっと見つめ、知らず知らずのうちに精神的重力場に陥り、一瞬でも注意を怠ると海水のように絶え間なく湧き出る幻影に精神を奪われてしまう。柔らかな偽りのイメージとは裏腹に、その「幽藍の太陽」を見つめると、太古の時代から抑え込まれた激しい怒りを感じるだけだろう――「歳陽は英雄たちに世界を滅ぼす力を与える。そして、すべての使命を果たした後で、英雄たちは歳陽に千回の鍛えに鍛えられた肉体を返さなければならない…」古い誓いがどのように実現されるのか、誰にも分からない。そして果てしない夢の中で「火皇」がいつ目覚めるのかも、誰にも分からないのだ。
蓮花のランプ芯の中で、深く眠っている偽陽は深くため息をつく。仙舟はゆっくりと空を滑り、異色の軌跡を一筋だけ残す。仙舟朱明はこのような火との誓いを守り、火とともに歩み、火と運命を共有し続ける。